当院は「勤労者と地域の皆様に良質な医療を提供する」を理念とし、地域医療支援病院、災害拠点病院および救急告示病院として、佐世保市ならびに県北の医療において重要な役割を担っています。とくに救急医療においては、二次救急病院としてドクターヘリ約40件を含む年間2300件以上の救急搬送を受け入れ、急病患者への迅速な対応と治療に当たっています。
当院には内科、循環器内科、外科、整形外科、形成外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、救急科、臨床検査科、病理診断科の16診療科と健康診断部があり、50名の常勤医師で診療に当たっています。骨折をはじめとする外傷や脳血管疾患などの緊急手術をはじめ、各診療科がチーム医療に基づいた専門的な診療を行っています。病床数は集中治療室6床を含む350床ですが、そのうち50床は地域包括ケア病床であり、病状安定後に安心して自宅に戻ることができるように、リハビリテーションや患者支援を積極的に行っています。
医療の進歩と衛生環境の向上により、わが国は他に類をみない超高齢社会となり、今や人生100年時代と言われています。現在も65歳以上の高齢者人口は増え続け、働く高齢者も年々増えています。そうした中で、単なる寿命ではなく、健康で自立した状態で生活する「健康寿命」をいかにして延ばすかが、 人生100年時代の大きな課題です。当院では、働く人々の疾患の予防、早期発見、治療、リハビリテーションを適切に行うことで、職場復帰や、治療と仕事の両立を促進することに取り組んでいます。
折しも、国連は2021年から2030年までの10年間を「ヘルシーエイジングのための10年(Decade of Healthy Ageing)」と設定しています。世界的に人口の高齢化が加速する中、人々と家族、そして地域社会が健康的に歳を重ねるために、10年をかけて、政府、市民社会、国際機関、アカデミア、民間セクター等の協調行動を促すものです。伸びた寿命を人々にとって価値あるものにするために、医療機関として私たちが取り組む課題は多いと思います。
当院は「ヘルシーエイジングに取り組む長崎労災病院」として、疾病の予防から高度な治療まで切れ目のない医療を提供し、これからも健康長寿社会の実現に向かって職員一同努力してまいります。
長崎労災病院 院長 酒井 英樹