北松炭田の労働災害事故対策として昭和40年に開設され、昭和57年よりベッド数20床で本格的な脳神経外科診療が開始されました。その後今日に至るまで長崎県北部にとどまらず佐賀県伊万里市、有田地域からも救急患者を受け入れ地域における脳神経外科診療を担ってきました。
診療対象患者の多くは脳血管障害(脳卒中)です。わが国における脳卒中患者数は現在約150万人と言われており、毎年25万人以上が新たに発症していると推測されています。がん、心臓病、肺炎に次いで日本における死因の第4位、寝たきり原因の3割近くを脳卒中が占めています。高齢化や糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の増加により、脳卒中患者は2020年には300万人を超すことが予想されています。脳卒中治療に関しては、専門医による早期診断、早期治療、リハビリによる機能回復、再発予防が重要となります。当科では脳ドックを含めた『勤労者脳卒中センター』が院内標榜され、また長崎県下ではより高度な治療可能な医療機関としての『地域脳卒中センター』に認定されています。また、近年の脳卒中治療においては、以前と比べ時間的制限が要求されるようになりました。より効率的な患者搬送を目的とし、地域医療機関および救急隊との間で『脳神経外科ダイレクトコール』を開設しています。
現在、医師4名(専門医4名)、看護師、リハビリ技師などのコメディカルと協力し地域完結型の包括的な急性期脳卒中治療を行っています。リハビリに関しては、急性期からの活動促進 (NAFM; 長崎労災病院式活動促進法) を目標に掲げ、立位移動補助具 (アクティーモNR)、アジャスト式膝装具(NKO)および麻痺側骨盤吊り上げ式後方介助歩行(UPW)などを取り入れ積極的に歩行練習を行っています。
脳卒中に限らず、頭部外傷、脳腫瘍、機能的疾患(三叉神経痛、顔面けいれん)などの脳神経外科診療に関しての実績は地域医療圏において最も高い評価を得ています。
副院長 脳神経外科 勤労者脳卒中センター長(兼務) 脳血管内外科部長(兼務) 第三リハビリテーション科部長(兼務) 治療就労両立支援部長(兼務) |
北川 直毅 |
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脳神経外科部長 | 廣瀬 誠 |
第二脳神経外科部長 | 前田 肇 |
脳神経外科副部長 | 高平 良太郎 |
月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | |
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1診 | 廣瀬 | 北川 | 北川 | 廣瀬 | 前田 |
2診 | 高平 | 前田 | |||
午後 | 廣瀬(脳ドック)、 セカンドオピニオン外来 |
2020年 | 2021年 | 2022年 | ||
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手術件数 | 277件 | 236件 | 203件 | |
主な実績 | 血管内治療 | 54件 | 50件 | 60件 |
血管内治療-CAS | 10件 | 6件 | 9件 | |
血管内治療-SAH | 4件 | 11件 | 9件 | |
血管内治療-未破裂or再発 | 14件 | 9件 | 8件 | |
血管内治療-AVF | 0件 | 1件 | 0件 | |
血管内治療-血栓回収術 | 15件 | 15件 | 26件 | |
血管内治療-TAE | 3件 | 1件 | 0件 | |
血管内治療-TVE | 3件 | 1件 | 2件 | |
血管内治療-経皮的脳血管形成術 | 1件 | 3件 | 0件 | |
血管内治療-その他 | 4件 | 3件 | 6件 | |
慢性硬膜下血腫 | 56件 | 53件 | 48件 | |
クリッピング | 26件 | 23件 | 12件 | |
クリッピング-SAH | 13件 | 11件 | 7件 | |
クリッピング-未破裂 | 12件 | 11件 | 5件 | |
クリッピング-dAVF 流出静脈 | 1件 | 1件 | 0件 | |
頚動脈血栓内膜摘出術 | 9件 | 16件 | 15件 | |
MVD | 9件 | 5件 | 3件 | |
バイパス術 | 5件 | 8件 | 5件 | |
シャント術 | 31件 | 25件 | 13件 | |
減圧開頭術 | 9件 | 7件 | 3件 | |
頭蓋形成術 | 10件 | 5件 | 3件 | |
腫瘍摘出術 | 19件 | 18件 | 13件 | |
開頭血腫摘出術 | 30件 | 10件 | 12件 | |
脳室ドレナージ術 | 7件 | 7件 | 10件 | |
その他 | 12件 | 9件 | 6件 |