年間手術件数は700~800件で頚椎疾患が150例、腰椎疾患が500例程度です。近年高齢化社会となり最近増加傾向にある首下がり症候群、成人脊柱変形(胸腰椎~腰椎の後側弯症)に加え、びまん性特発性骨増殖症(DISH:4以上の椎体が癒合する疾患)による骨折、骨粗鬆症性椎体骨折が関わり、疾患が多様化してきております。当院で成人脊柱変形(胸腰椎~腰椎の後側弯症)による歩行困難に対し長範囲固定を行うことにより、バランス不良が改善し歩行することが可能となりました。頚椎に対しても椎弓根スクリューを使用することにより、リウマチ頚椎や頚下がり症候群に対しても良好な結果を得ることができております。
高齢者に対しては低侵襲に手術を行うことが大切です。椎体骨折に対してはBKP(経皮的に椎体に管を通しバルーンで膨らませ、セメントを注入する方法)や経皮的に椎弓根スクリューを挿入する低侵襲性手術を行っております。
当院では最新の医療器具を常に導入し困難な症例に対しても積極的に対応しております。頚椎の椎弓根径は細く脊髄や椎骨動脈を損傷する危険性があります。これに対しては術中ナビゲーションシステム(車のカーナビと同じ原理でスクリューの挿入方向を画面上で誘導してくれる)を導入することにより安全に手術を行うよう努めております。また腰椎椎間板ヘルニアには内視鏡を使用し16㎜創での手術が可能となりました。最近では頚椎椎間板ヘルニアに対し人工椎間板置換術を導入し、除圧、固定以外の脊椎手術も積極的に行うことが可能となりました。側弯の矯正や脊髄腫瘍を摘出する上で術中に脊髄モニタリングを行うことは術後の麻痺を防止する上できわめて大切です。これに関し当院では(一般的に4カ所または8カ所で測定することが多い。)最大32カ所を測定する機器を使用し安定した導出の上手術を行っております。
様々な術式や最新の医療機器による治療を積極的に行いながら、何が一番患者さんにとって最適な方法なのかを脊椎外科グループで話し合い、的確な診断、治療方針を立て行っています。
脊椎外傷(頚椎損傷、頚髄損傷、胸腰椎損傷)・脊椎変形疾患(腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、頚髄症、頚椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニア)・脊柱変形・脊椎側弯症・思春期側弯症・リウマチ性脊椎疾患・骨粗鬆症性脊椎骨折・脊椎、脊髄腫瘍
脊椎顕微鏡下手術・脊椎内視鏡手術(内視鏡下ヘルニア摘出術、内視鏡下脊柱管除圧術)・脊椎低侵襲手術・インストゥルメンテーション手術・側弯症矯正手術・ナビゲーション下脊椎手術・脊髄モニタリング下脊椎手術
2020年 | 2021年 | 2022年 | ||
---|---|---|---|---|
手術件数 | 898例 | 708例 | 560例 | |
主な実績 | 腰椎椎間板ヘルニア | 208例 | 148例 | 122例 |
腰部脊柱管狭窄症 | 198例 | 136例 | 148例 | |
頚髄症(頚椎椎間板ヘルニア) | 76例 | 98例 | 53例 | |
その他脊椎手術 | 416例 | 326例 | 237例 |